Laravel Live Japan に登壇した。国際カンファレンス、ほぼ初めての英語登壇。私にとって、いくつもの「初めて」が重なる舞台だった。
人に話すと驚かれるのだが、私はかなり緊張しやすいタイプだ。
同時に、壇上に上がり一言目を発した瞬間にスイッチが入るタイプでもある。その落差やリズムを自覚しているため、最近は事前の緊張も楽しめるようになってきている、はずだった。
だが、今回はその波に乗れなかった。ライブ会場としても使われる完璧なステージ。リズムに乗れている自分が想像できない。そもそも、普段のスイッチである「一言目」自体が不慣れな英語だ。
先の見通しが見えないまま、前日、リハーサル会場に向かった。
リハーサルでブチ上がった
@enunomaduro のポストをお借りする。ステージからみたリハーサル風景:
ステージ位置が高く見通しも良い。モニタも十分に大きい。客席のどの位置からでも、見切れることなく確実にスライドを見てもらえる。ステージ中央には登壇者用のモニタが2枚。
これなら、伝えたいメッセージを確実に伝えられる。
マイクテストで声を出した。返しの音量は十分に大きく、スピーカーを通した自分の声だけがはっきり耳に入る。試しに大きめの声を出した。当然だがハウリングは全く無い。
これなら、つい勢いで話しがちな自分の声も、安定して客席に届く。
後ろを振り返り YOYO1 の翻訳を確認した。急場しのぎで練習した英語は、かなり正確に日本語に翻訳されていた。
これなら、日英を問わず全員に伝えられる。
先の見えない不安から自分を救ってくれたのは、会場の設備と技術、それを支えたスタッフ達だ。心から感謝したい。
万全の状態で、前日から当日への夜を過ごすことができた。本番が楽しみで2時間しか眠れなかったこと以外は。
機材トラブルで青ざめ…、からのブチ上がった
いよいよ本番。@DCoulbourne に紹介されステージへ登場する流れ。彼の台本は知らされていなかったのだが、私の普段のOSS活動やコミュニティ活動を端的に説明してくれた。選んでくれた話題がいちいち嬉しい。ブチ上がった。
ステージへと歩く途中、スポットライトと演出照明を浴びる。これを浴びるのは何十年ぶりだろうか。ブチ上がった。
最高のテンションで、さて話し始めようとしたら、機材スタッフが私のMacの前で難しい顔をしている。接続トラブルのようだ。スピーカー用モニタに何も映っていない。
場を繋いだほうが良いかと思い、日本語のアドリブで他愛もないトークをした。2,3分程度だろうか?話に詰まった辺りで演台に戻ってみたが、まだ復旧していない。
…青ざめた。
中途半端に場繋ぎトークを始めてしまったからには、ここで引き下がるのは観客にも司会にも失礼だ。何か話すべきだ。何を話すべきか?
Laravelのカンファレンスで壇上に立っている。PHPではなくLaravel。Laravelの話ならいくらでも出来る。だが逆に難度が高い。下手に話すと別の登壇者と被るかもしれない。Laravel社がスポンサーに名を連ねる場で記憶だけを頼り話すことへの不安。では何を話すのか?Laravelユーザーに伝えたいこと、何か持っていただろうか?フレームワークより上のレイヤーを扱うエンジニアに伝えたかったこと、それが自分にはあったはず。思い出せ、そうだ、PHPだ。PHP本体の進化やそれを支える人々の努力。前からそれを伝えたかった。
「ジェネリクス2の話でもしましょうか!」
拍手が起きた。…最高にブチ上がった。
そこから10分ほど、完全アドリブ技術トークをした。記憶だけが頼りだったため深い話は出来なかったが、ポイントは外さなかったはずだ。ユーザーの痛み、ツール開発者の痛み、PHP開発者の痛み。聞いてくださった方々のPHPへの興味をより強く引き出すことが出来たかは解らない。だが、PHPコントリビューターとしてやるべきことをした実感はある。
話が途切れたタイミングでちょうど昼時。司会の判断で、昼食を挟み私の本編はその後、という形になった。
最高にブチ上がった状態で好きな話を好きなだけしてコンディションが整い、休憩を挟み再度本編。こんな経験はなかなかできない。美味しく頂いておこう。
午後も万全の状態で臨めそうだ。ブチ上がった反動が来ないよう昼食を摂らない判断をし、空腹のまま本編に臨むことになった以外は。
落ち着いて臨んだ本編
とは言え少し困った。
午前のアドリブで精神力を使い果たした感もある。私は普段から感情に任せて話すタイプだが、同じ登壇者の高揚気味のトークを連続で聞かされるのもしんどいだろう。アドリブ中についやってしまった「ネタばらし」のおかげで若干の台本変更も発生している。
そして、直前までの流れのおかげで、今はかなりリラックスできている。よし、珍しく「落ち着いて」話そう。
見事に拾ってくださった。@hanhan1978 は、私の登壇の多くを最前列で聞いてくださっている。はい、でも頭フル回転でした!今後ともよろしくお願いします!
本編は、ここに書くことはあまり多くない。本当に長い時間をかけた企画、資料、スクリプトなので、是非そちらを見て欲しい。Laravel Wayは人間にもAIにも等しく効く、そんな話だ。
Laravel アプリはなぜ壊れるのか? “基本形”を守り、破綻させない技術
廊下での反応は、見事に割れた。日本人のほぼ全員は日本語アドリブの前編を、外国人のほぼ全員は台本読み上げの本編を褒めてくださる。用意した英語よりも、とっさの日本語のほうが正確に届いた相手がいた。英語で話す選択を後悔してはいないのだが、私の拙い英語は翻訳AIには扱いが難しかったのだろう。訳文では意味を取りづらい箇所が幾つかあった。
頂ける機会があれば、資料も台本も日本語化した上で再演したいと思っている。主催者のどなたか、是非よろしくおねがいします。
ここまでは壇上からの景色だ。客席側で受け取った驚きや発見は、後日、別の記事で。
Footnotes
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Laravel Live JapanオーガナイザーのRyuta Hamasaki氏によるカンファレンス向けライブ翻訳システム: Live Translation for Meetups & Conferences - YOYO ↩
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ジェネリクス型。PHP次バージョン(PHP 8.6?)の導入を目指し議論が行われている: PHP RFC: Bound-Erased Generic Types ↩