この記事はそーだいなる Advent Calendar 2025の6日目の記事です。
思い出したきっかけ
昨日、ツナギメエフエムの収録でアカセさんとお話していた。「PHPにコミットしている理由」を聞かれ、そう言えば何故だろうと思い考えながら答えていた。最中、ふとそーだいさんの言葉を思い出し、それも話した。1年くらい前に言われた言葉だったと記憶している。
収録を終え思い返していたところ、もっと以前のそーだいさんの記憶がふと蘇った。この記事を書くために調べたところ7年ほど前の話だった。当時は全く意識していなかったが、おそらく私の人生を変えた出来事だったと思う。
この2つの話をしたい。
引用部の細かい会話はうろ覚えなのでニュアンスを補完している。一部、ツナギメエフエムでの話と重複する点はご容赦いただきたい。
コミュニティに歓迎されたと感じた日
2018年。プロのエンジニアとして働き始めてから、おそらく10年ほど経っていたタイミングだと思う。当時私は、いまとなっては信じがたいが、「IT勉強会」「コミュニティ」というものの存在を知らなかった。ほとんど全てを独学で賄っていたため人づての情報源が無かったのだ。
時折、はてなブックマークで大変有り難いスライドがホットエントリーに入るのは気づいていた。ふと、特定の日にスライドの公開が集中するのは何故だろうと感じた。Twitterでハッシュタグを見つけそれを追うと、なるほど、有志の勉強会というものがあるのか。
「あんな風に役立つスライドを発表する側になってみたい」
そう感じ、自分の興味のある勉強会を探し始めた。PostgreSQLでパフォーマンスピーキーなシステムを扱っていた当時、これなら参加してみたいと思い応募したのが中国地方DB勉強会 in 渋谷だった。
「発表する側になってみたい」という気持ちが強かったのでLT用の資料を作った。だが初参加なので勝手が解らない。「発表枠」というボタンを押すだけなのだが、その勇気がない。一般枠で応募し、ノートPCにひっそりと資料を忍ばせ参加するという行動に出た。
そーだいさん:
「今日LTこんな感じなんですけど、他になにかやりたい人います?」
私:
「あ、あの、もし良かったら実は資料を作ってきてて…」
そーだいさん:
「お、やった、是非!じゃあ3番目で!!」
軽いノリに拍子抜けしつつその場で決まった初登壇の緊張に襲われ続ける時間を過ごした後、初作成の資料で10分ほど話した。
資料は情報量や引用の点で至らなかった箇所があったと思うのだが、たまたまモニタが2台あったので、スライドに関係のある公式ドキュメントのページを映してくれた。話している最中も様々な合いの手やリアクションを入れてくださった。とにかく話しやすかった記憶がある。
帰りにTwitterを見たら、私が登壇している真っ最中にツイートもしていた。
「これが、勉強会か。」
話しやすい雰囲気の中で思う通りのトークができた。ポジティブなフィードバックも得られた。私の中で、コミュニティへの視界が開けた瞬間だった。
コミュニティでの立ち位置を見つけられた日
2025年。もはや旧知の仲となっていたそーだいさんと、カンファレンスの廊下で立ち話をした。
私:
「PHPへのプルリクマージされました!PostgreSQL便利に使えますよ!」
そーだいさん:
「おー!ありがとうございます!凄い!」
私:
「あざっす!いやあでも、でもPostgreSQL本体へのコントリビューションと比べると…」
そーだいさん:
「んなことないっす!作る側でなく使う側の視点、むちゃくちゃ大事!」
私:
「そういうものですかね?」
そーだいさん:
「そういうものです!例えばRailsで言うところのかみぽさんのような人、PHPやLaravelでパッと思い浮かばないじゃないですか?」
私:
「あっ!!なるほど!?」
そーだいさん:
「武田さんがそこに行けば良いわけで」
私:
「えw ちょwww」
そーだいさん:
「よろしくお願いします!」
正直なところ、かみぽさんと同じ所へ行ける自信はない。だがこの言葉が、自分の「立ち位置」を明確に意識するきっかけになった。
2024年は休日プログラマーとしてはかなりOSSへコミットできた年だったと思う。対して2025年、急に忙しくなってしまい、少し情けなさを感じてしまうコミット量にまで落ち込んでいた。
一方で、pdo-pgsqlに送ったプルリクエストは、かなりニッチな機能ではあるが使いたい人にとっては本当に便利な機能であるはずと自負している。
なるほど、量で勝負する必要は無いのか。
- PHPのコアコミッターは:
- DBベンダー固有のニッチな機能にそこまで明るくない
- より重要なタスクのためそこまで手を回せない
- PostgreSQLのコアコミッターは:
- 各言語でのクライアントライブラリの使われ方まで細かく把握するのは困難
こうして考えると、pdo-pgsqlのような場所が自分の主戦場かもしれない。最近はLaravelもPostgreSQLの個別の機能サポートを少しずつ広げているようだ。相変わらず忙しくOSS活動には手が回らないのだが、「このIssueは自分がやるべきだ」と判断する明確な基準が出来た。
コミュニティへのフィードバック
最近、コミュニティ繋がりの方から「トークへのフィードバックが丁寧で有り難い」と仰って頂けることが多い。そうだとしたら大変嬉しい。自分自身、それを強く意識している。
閑話休題。今となっては恥ずかしく感じてしまう私の初登壇、最近のカンファレンスの廊下でのちょっとした話、どちらも「そーだいさんらしいな 笑」と感じるエピソードだが、ひょんなことから、私の「原点」みたいなものを形作るきっかけになっている。
アドベントカレンダーの他の記事を読んでも、皆、そーだいさんから受けた良い影響をこれでもかと言うほど書いている。自分は少しでもそれに近づけるだろうか。頑張りたい。
そしてそーだいさん、今後ともよろしくお願いします。